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スタッフコーヘイが巻く、私的クラシカルフライ「ロスト&ファウンド」。直訳すると「失くす、見つける」ですが、海外では遺失物取扱所つまり忘れ物センターを意味する言葉です。フライ史に残る偉人達が考案した名作毛鉤を掘り起こし、時に忠実に、時に遊び心を加えて、お届けします。

Ausable Wulff サイズ#12

同じニューヨーク州アメリカ東部の地域としてキャッツキルと釣り歴史的にも深い繋がりを持つアディロンダック地方。そこでヘイスタックやユージュアルなど後世に残るフライを考案し、のちにキャッツキル・フライフィッシング博物館への殿堂入りを果たした伝説的フライタイヤー「フランシス・ベターズ氏」。彼が残したもう一つの傑作がこの「オウサブルウルフ」です。

フロントに備えるウイングと縦巻きのハックル、テール。その構成はキャッツキルのそれなのに、全くもって異質。それもそのはず、白く輝くのウイングはカーフテイル(子牛の尻尾)、そしてツートンになったテールはウッドチャック(北アメリカ生息のリス科哺乳類)が使われており、とってもバルキーな質感。

元々、このキャッツキルスタイルを獣毛へ置き換えた永久不滅の定番パターン「WULFF 」を考案したのは「リー・ウルフ氏」。世界で初めてフライフィッシングベストを考案し、キャッチ&リリースの概念を広め、6ftロッドでアトランティックサーモンを釣り、FFF(現FFI ※FlyFishers International)の設立に深く携わるなど、フライフィッシング界に数えきれないほどの偉大な功績を残したアメリカの伝説的なアングラーです。

1930〜40年代にキャッツキルで釣りをしていたウルフ氏は、鳥の羽で華奢に作られたキャッツキルスタイルのフライの耐久性、浮力、視認性に不満を持ち、あるとき獣毛に置き換えることを思い付いたそうです。そしてグレイウルフ、ロイヤルウルフ、ホワイトウルフと呼ばれる独自のフライパターンを考案。この革新的パターンは、モンタナ州でフライショップと通信販売事業を行う盟友ダンベイリー氏と当時のOutdoor Life誌編集者でありアウトドアライターであったレイ・バーグマン氏によって、アメリカ西部にも広く紹介され、後の多彩なウエスタン(米国西部)パターンへと繋がっていきます。

そして話は戻り、1964年アディロンダック。フラン・ベターズ氏は地元を流れる銘川オウセブルリバーの水性昆虫を長年観察し「多くの虫たちが褐色の胴体と赤味の強い頭部を持っている」という結果と、影響を受けたウルフスタイルを掛け合わせ、特定の虫ではない多種を模倣するアトラクターパターンとして、この「オウサブルウルフ」を誕生させます。

このフライは多くのフライフィッシャーから支持され、その後米国のフィールド&ストリーム誌において史上最高のトラウトフライ10に選ばれる快挙を成し遂げています。

そして、このフライが生まれた「オウサブルリバー」は多くの岩が点在する急流で、日本渓流にも似ている部分があるのだとか。(もちろん行ったことはありません。苦笑)
そのポケットウォーターを攻略するために開発され、高い浮力、視認性、耐久性を持つこのパターンは、ここ日本でも素晴らしい性能を発揮してくれます。

日本渓流をリトル・オウサブルリバーに見立ててミッドセンチュリーな気分を味わう。そんな歴史探訪のような釣りならば、魚の数やサイズだけでない、また異なる釣りの面白さが見えてきます。このようにキャッツキルパターンが原型となりながら、歴史の流れと地域的背景から東部と西部でそれぞれの進化を辿っていくフライたち。調べれば調べるほど面白い話がザクザク出てくる、打ち出の小槌なのです。

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